Challenge

新たな市場への進出を開発合理化で後押しし、最新の製造テクノロジーを採用すると同時に構成部品の軽量化とパフォーマンスの改善を実現する。

Solution

SOLIDWORKS Professional、SOLIDWORKS Premium、SOLIDWORKS PDM Professional製品データ管理の各ソリューションに、SOLIDWORKS Simulation Professional解析ソフトウェアのトポロジー最適化ツールを追加。

Results

  • サスペンションのアップライトの開発サイクルを2ヶ月短縮
  • サスペンションのアップライトの重量を60%削減
  • 従来のものより軽量で強度が高く外観も美しい部品でラリーレース市場に参入
  • 従来の製造工程と積層造形(AM)の両方に対応

情熱。勝利。競争。興奮。発展。経験。これらの6つは、(特に運転をする)人が速い車を魅力に感じる要素です。

「レースは感覚的な体験です。音、スピード、色彩、エンジンから伝わる振動。長く経験するほど、それが分かるようになります。この感覚を味わいながら、車をぎりぎりの状況でコントロールする熟練ドライバーを見るのは、オリンピック競技と剣闘士の戦いを同時に見るようなものです」 — Doug Boles氏、Indianapolis Motor Speedwayプレジデント

人が速い車を好きになることは事実です。私たちの逃げるか戦うかの本能を目覚めさせ、力を与えてくれます。したがって、こうした車を最も速く安全に作るために最善を尽くすのも当然のことと言えます。

ビジネスの流れに乗って新たな展望を開くGiaffone Racingは、停滞を打破してライバルの先を行くために、市場を揺るがす革新的なテクノロジーの模索を迫られました。エンジニアは旧来の方式を転換して新たな発想を引き出す必要がありました。最速のエンジン、最軽量のタイヤを作ったのは誰でしょうか。根本的に異なるものを作る必要があったのでしょうか。

 

 

そこで、GiaffoneのエンジニアたちはSOLIDWORKSに目を付けました。まず2006年に、SOLIDWORKS Professional設計ソフトウェア、SOLIDWORKS Premium設計・解析ソフトウェア、SOLIDWORKS PDM Professional製品データ管理ソフトウェアが導入されました。

目的達成のための新しいテクノロジーを模索するエンジニアのAdriano Schommer氏は、SOLIDWORKS Simulation Professionalソフトウェアのトポロジー スタディ機能に注目しました。トポロジー最適化機能を用いることで、設計エンジニアは重量剛性比のバランスをとり、質量や最大変位を最小化する最適な部品形状を自動で作成することができました。

さらに調査を進めると、トポロジーの最適化によって製造期間を大幅に短縮でき、他のSOLIDWORKSソリューションとの相乗効果によって新エンジンの設計に要する開発プロセスを迅速化できることが分かりました。

たとえば、ストックカーのサスペンション アップライトの設計にあたり、Schommer氏はダッソー・システムズの中南米部門の協力を得て、質量を減らすトポロジー スタディを実行し、車両の最適化された形状をさらに洗練させて重量を60%削減しました。

 

 

「SOLIDWORKS Simulation Professionalのトポロジー最適化ツールは、これまでよりも軽量で強度と剛性に優れる部品を、これまでよりも短期間で作るのに役立っています。設計段階の試行錯誤に時間をとられることもありません」Schommer氏は強調します。「このアップライトでは、チリ在住のシニア テクニカル セールス マネージャー、Jose Pereiras氏にご協力いただき、とあるトポロジー スタディを使用しました。このプロセスを信頼し、短時間で結果を得るうえでは、Joseの豊富な経験が不可欠でした。最初に重量を最適化したところ、その設計では剛性が足りないことがわかったため、トポロジー最適化プロファイルを編集し、設計を変更して強度と剛性を高めました。SOLIDWORKSのトポロジー最適化を使うことで、設計を何度もやり直すことなく、たった1回の修正で設計の最終形にたどり着くことができました」

 

技術的優位性をもってラリーレース市場に参入

Giaffone Racingはまず、ストックカー ブラジル選手権向けの新しい部品の開発にSOLIDWORKSのトポロジー スタディ機能を使用。手始めに、サスペンションのアップライト(別名ナックル)を設計しました。アップライトとは、ホイール、ブレーキ ローター、ハブ、ブレーキ キャリパー、ステアリング アームを車体に取り付けるための部品です。その狙いは、ラリーレースという過酷な環境に取り組むために、新しく導入した設計ツールでレーシング サーキットを経験することでした。当時はちょうど、ブラジルの最難関ラリー「Rally dos Sertões」にBuggy V8で挑むための研究が進んでいました。2019年に開催されたこのラリーでは、ブラジルの4つの州にまたがり、同社の設計部品が3,600km以上を走行する予定になっていました。

SOLIDWORKSのトポロジー スタディを使うと、設計エンジニアは設計スペース、荷重、製造工程との関連を含めたジオメトリの制約に基づき、最適な強度対重量比を得る、質量を最小化する、最大変位を最小化するなど、所定の目標を達成するよう最適化された構成部品のジオメトリを自動生成することができます。「私たちは設計性能や製造可能性を検証するために何度も設計を繰り返す代わりに、SOLIDWORKSトポロジー ツールを使って新しいサスペンションのアップライトに最適化された形状をすばやく生成しました」Peixoto氏は言います。「SOLIDWORKSのトポロジー最適化機能のおかげで、私たちは技術的優位性をもって新しい市場に参入できただけでなく、開発サイクルを2ヶ月短縮することができました」

部品の軽量化と同時に強度と剛性の改良を実現

SOLIDWORKSのトポロジー スタディは、Giaffone Racingの時間を節約すると同時に、設計者が作業目標にすばやく到達できるよう支援します。多くの場合、それを実現するには、設計者が自分の設計物の動作に関して有益なインサイトを得る必要があります。たとえば、Schommer氏はストックカーのサスペンションのアップライトを開発する過程で、ダッソー・システムズの中南米部門の協力を得て質量を最小化するトポロジー スタディを実行。最適化済みの形状をさらに洗練させて、アップライトの重量を60%、3kgから1kgまで削減しました。こうして重量を最適化した部品は、応力に耐える強度はあったものの、剛性は十分ではなかったため、Schommer氏は部品の特定の領域だけをわずかに太くすることで、この問題を解消しました。

「SOLIDWORKS Simulation Professionalのトポロジー最適化ツールは、これまでよりも軽量で強度と剛性に優れる部品を、これまでよりも短期間で作るのに役立っています。設計段階の試行錯誤に時間をとられることもありません」Schommer氏は強調します。「このアップライトでは、チリ在住のシニア テクニカル セールス マネージャー、Jose Pereiras氏にご協力いただき、とあるトポロジー スタディを使用しました。このプロセスを信頼し、短時間で結果を得るうえでは、Joseの豊富な経験が不可欠でした。最初に重量を最適化したところ、その設計では剛性が足りないことがわかったため、トポロジー最適化プロファイルを編集し、設計を変更して強度と剛性を高めました。SOLIDWORKSのトポロジー最適化を使うことで、設計を何度もやり直すことなく、たった1回の修正で設計の最終形にたどり着くことができました」

関連リソース

これを受けて、「常に最先端のテクノロジーを追求する私たちのビジョンは、社を成功に導くためのもの」と言うエンジニアリング コーディネーターのDenis Ramon Peixoto氏は、トポロジー最適化ソフトウェアが「オフロード製品ライン」の開発や、「先を読む」考えに役立っていると語っています。

こうして、SOLIDWORKSとGiaffone Racingは、開発期間を70パーセント短縮するという離れ業を成し遂げました。SOLIDWORKSのトポロジー スタディは時間の短縮だけでなく、Giaffone Racingのエンジニアが設計の制約を素早く簡単に理解するのにも役立っています。

 

Giaffone Racing

 

Giaffone Racingは、SOLIDWORKS Simulation Professionalトポロジー スタディ機能を使って、ストック カー ブラジル選手権向けの新しいコンポーネントを設計しています。最初に、サスペンション アップライト(ナックル)から取り掛かります(図を参照)。これは、車輪、ブレーキ ローター、ハブ、ブレーキ キャリパー、ステアリング アームを車体に固定するパーツです。硬度を保ちつつ軽量化するために、SOLIDWORKSのトポロジー スタディを使って、このコンポーネントを最適化しました。

 

SOLIDWORKS Simulation Professionalソフトウェアのトポロジー最適化ツールは、これまでよりも軽量で強度と剛性に優れる部品を、これまでよりも短期間で作るのに役立っています。設計段階の試行錯誤に時間をとられることもありません。

Adriano Schommer
エンジニア

Giaffone RacingがこのSOLIDWORKSソリューションを選んだのは、そのトポロジー ソリューションとSOLIDWORKSの既存の設計・解析プロセスを組み合わせることで俊敏な開発を実現できることが理由でした。信頼性の高い軽量部品の開発が自在に行え、出荷時のサイズの制約も解消することができました。

SOLIDWORKSソリューションの導入により、次のメリットが得られました。

  • 製造期間の短縮。サスペンション アップライトの開発サイクルを2ヶ月短縮しました。
  • 出荷時の制約に対処。サスペンション アップライトの重量を60パーセント削減しました。
  • 製品品質全般の向上。より美しく軽量、丈夫な部品で市場に再参入を果たしました。
  • 複雑さを減らして生産性を向上。従来の付加的な製造手法に対応する柔軟性も得られました。

 

部品製作に従来の製造工程と積層造形を併用

SOLIDWORKSのトポロジー最適化機能を導入したGiaffone Racingは、多くの設計に従来の製造テクニックをそのまま活用しながら、従来の手法では製造できない部品については積層造形の手法を採用できるようになりました。たとえば、ストックカー ブラジル選手権向けの新しいアップライトは、ブラジルの積層造形市場を牽引するAMS Brasilの協力を得て、金属(チタンにほぼ決定)の3Dプリントで作る予定です。積層造形の場合、アンダーカットや中空構造の部品など従来の機械加工、鍛造、鋳造にまつわる制約がないため、これまで形にすることができなかった部品を作れるようになります。

「SOLIDWORKSのトポロジー最適化と積層造形は、当社が新たに掲げた製品開発目標や製造目標の達成を後押ししてくれる新しいテクノロジーです」Schommer氏は言います。「私たちはSOLIDWORKSのトポロジー最適化テクノロジーを活用して、従来のものより軽量で強度が高く見た目も美しい部品を作っています」

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