Challenge

革新的なマイクロフルイディクス システムを顕微鏡レベルで正確かつ効率的に開発する。

Solution

SOLIDWORKS Professional設計ソフトウェア、SOLIDWORKS Premium設計解析ソフトウェア、SOLIDWORKS Simulation PremiumおよびSOLIDWORKS Flow Simulation解析アプリケーション、SOLIDWORKS Enterprise PDM製品データ管理システムを導入する。

Results

  • 設計サイクルを50%短縮
  • 試作品の必要性を90%削減
  • 6~8週間の金型製造期間を短縮
  • 流体圧力を500psiから30,000psiに増加

IDEX® Health; Scienceでは、研究所のサンプル処理の課題が革新をもたらしています。IDEX CorpのIDEX Health; Scienceでは、バルブ、ポンプ、マニホールド、継手、注入器、チューブ システムなど、マイクロフルイディクス精密システム構成部品を製造しています。これらの部品は、液体クロマトグラフ、質量分析計、DNA解析システムなどの高度な検査機器に使用されています。

機械設計エンジニアのKevin Longley氏によると、競争の激しい検査機器市場ではスループットの最大化が極めて重要であるといいます。「研究所のスループットを上げれば収益も増えます」とLongley氏は説明します。「圧力を高めてより多くのサンプルをカラムに通すことで、スループットを増やすことができます。最初の高圧液体クロマトグラフィー バルブは500psiでした。現在IDEXで開発するRheodyne®バルブは30,000psiの圧力で処理します。そのため、ごく微量(0.1マイクロリットルなど)の体積を非常に高い圧力で加圧しています。それは、スループットを上げ、研究所が器具をより低価格で購入できるようにするためです」

同社のエンジニアは、画期的なマイクロフルイディクス技術を実現するため、設計とシミュレーションの統合ツールを必要としていました。2001年IDEXは、Pro/ENGINEER®ソフトウェアからSOLIDWORKSの統合ソリューションに移行する決定を下しました。「使いやすく、トレーニングが充実しており、優れた構造・流体シミュレーションツールを利用できることから、IDEXではSOLIDWORKSを標準にしています」とLongley氏は説明します。「SOLIDWORKSを使用していると、ソフトウェアの存在に気づかないことがあります。作業が遅れることもないですし、複雑な手順も必要ないからでしょう。自分がやっている作業の一部としか感じません」

IDEXは、SOLIDWORKS Professional設計ソフトウェア、SOLIDWORKS Premium設計解析ソフトウェア、SOLIDWORKS Simulation PremiumおよびSOLIDWORKS Flow Simulation解析アプリケーション、SOLIDWORKS Enterprise PDM製品データ管理システムを120ライセンス取得しました。「SOLIDWORKSソリューションは直感的に操作できるため、ツールではなく設計そのものに集中できます。そのため、より高精度な設計を生み出すと同時に、開発プロセスを効率化できます」とLongley氏は述べています。

今後起きることをシミュレーションする

IDEXの設計が複雑になるにつれて、SOLIDWORKS SimulationツールとSOLIDWORKS Flow Simulationツールへの依存度も高まっています。「私たちの作業の大半は手動ではほぼ不可能です」とLongley氏は強調します。「当社で使用しているチューブは直径1/32インチですが、内径は0.004インチです。こうした小さな管にごく少量の流体を高圧で通過させるため、シミュレーションは不可欠です。その他については、混合および構造有限要素解析(FEA)を含む流体シミュレーションを実施します」

「当社のバルブは、分解されるほどの荷重を受けるので、プロジェクトのすべてのリンクで有限要素解析(FEA)を実行する必要があります」とLongley氏は続けます。「試作品を作成する前に、解析を実行し設計の妥当性を確認します。当社が製造するすべてのバルブに対して解析を行います。設計プロセスにSOLIDWORKS Simulationを組み込んだおかげで、これまで必要だった試作品作成の繰り返しを90%削減できます」

設計プロセスにSOLIDWORKS Simulationを組み込んだおかげで、これまで必要だった試作品作成の繰り返しを90%削減できます。

Kevin Longley氏
機械設計エンジニア

時間節約とデータ管理

IDEXでは、SOLIDWORKSソリューションの導入により、設計サイクルが50%短縮され、技術革新も促進されています。SOLIDWORKSシミュレーション ツールだけでなく、SOLIDWORKSの設計コンフィギュレーション機能により、時間の節約が実現しています。

「当社製品は99%が構成部品のため、コンフィギュレーションが役に立っています」とLongley氏は指摘します。「当社のバルブのエンドは固定子です。固定子本体は同じままですが、さまざまなポート コンフィギュレーションを持つことができます。2個のポートを持つものもあれば、最大25個のポートを持つものあります。そして、穴の角度は多岐にわたります。コンフィギュレーションによって、最初の設計をもとに、あるゆる組み合わせのコンフィギュレーションを効率的にモデリングできるため、多くの時間を節約できます」

同社は、SOLIDWORKS Enterprise PDMシステムを導入し、製品設計データの管理を改善しました。「SOLIDWORKS Enterprise PDMの導入がすべて完了すると、もっと多くの時間を節約できると予想しています」とLongley氏は付け加えます。「PDMシステムではすべての設計データにすぐにアクセスできます。ボールトにログインしてモデルを取得し、即座に仕事に取りかかることができます」

精密なチューブのルーティング

SOLIDWORKSは、製造に要する時間とコストの削減にも役立っています。Longley氏は、SOLIDWORKS Routingを使用して曲げファイルを出力します。このファイルは、極小のステンレス鋼チューブを製造するための曲げ半径のXYZ座標を取り込んだファイルです。この機能により、手動で取り付け具や固定具を使う代わりに、自動の管曲げ加工技術を利用できるのです。

「手動で行うと何か月もかかってしまいます」とLongley氏は話します。「治具だけでも、作成には6~8週間かかります。しかし、SOLIDWORKS Routingを使用した場合、約1週間でチューブが戻ってきました。これは、納期を守るためにSOLIDWORKSがいかに役立っているかを示す一例にすぎません」