Challenge

物理的なモックアップの作成に時間とコストをかけることなく、製品開発のクライアントに設計コンセプトを効率的に伝達する能力を向上させる。

Solution

SOLIDWORKS Visualize Professional レンダリングおよびARソフトウェアを導入。

Results

  • レンダリング時間が1/10に低減
  • 製品の市場投入までの時間を短縮
  • 開発プロセスをスピード アップ
  • 物理的なモックアップの作成コストをカット

ID Group, Inc.は、民間企業、デザイン業界の専門家、起業ビジネスを対象にした工業デザイン、製品開発、および試作品製作の各サービスを20年近く提供しています。同社はカリフォルニアを拠点とする製品開発コンサルタント企業で、市場の中で成功した製品を多数開発してきており、消費財、交通機関、医療機器、工業設備、家具、建築物までの、幅広い製品を手がけています。

ID Groupは、製品コンセプトや製品設計を顧客に提供する必要性に迫られることがよくあります。ID Groupの社長兼インダストリアルデザイナーであるJeremy Wilkens氏によると、競争力を維持するためには、企業は各種タイプの製品設計情報をできるだけ効果的に効率よく適切な形で伝達できるようにする必要があります。

「当社の製品開発作業は、顧客に応じてさまざまです」とWilkens氏は説明します。「クライアントが製品コンセプトを携えて当社にコンタクトしてくることもあり、当社はそれに応じて設計の外観、製品の人間工学やユーザー インタフェースを完成させていきます。また、当社が必要な機能を洗い出して、初期コンセプトと工業デザインから試作品エンジニアリング レベルまで、製品開発を完全に担当するケースもあります。社内的には試作品製作に完全に対応できる部門がありますが、物理的なモックアップや試作品製作にコストをかけずに設計情報を伝達しなければならないケースも多々あり、このときレンダリングとVRシミュレーション ツールが必要になります」

たとえば、大型航空機の内装の場合、ID Groupは、大型の物理的なモデルを作らずに、航空機の内装設計の様子を見せる必要があります。「20~30フィート分の機体の一部を組み立てなくても、航空機内部の空間をリアルタイムで顧客が体感できるようにする必要があります」とWilkens氏は強調します。「高品質なレンダリングまたは3次元のシミュレーション環境で設計情報を伝達することは、当社にとっても顧客にとっても費用対効果の大きい方法です」

設計の視覚化のニーズに応えられるように、ID GroupはSOLIDWORKS® Visualize Professional レンダリング ソフトウェアを使用しています。同社は設計コンサルタント企業として、SOLIDWORKS Visualize Professionalを選択しました。その理由は、習得しやすく、高品質レンダリングを高速で表示でき、トレーニングの必要性とコストが少ないこと、それにSOLIDWORKS以外の各種CADデータに対応していることです。「SOLIDWORKS Visualize Professionalで特に気に入っている点は、発光効果を付ける機能、レンダリング速度、習得期間の短さです」とWilkens氏は述べています。「当社にとって、SOLIDWORKS Visualize Professionalで新入社員をトレーニングした方が効率がよく、トレーニング コストも低くなります」

SOLIDWORKS Visualize Professionalが提供する高品質のレンダリングにより、大規模組織内のコンセンサスが確立され、プロセスが効率化されるため、時間とコストの大幅な節約になります。

Jeremy Wilkens氏
社長・インダストリアルデザイナー

高レベルの質感を達成

ID Groupは、SOLIDWORKS Visualize Professionalを使用して、物体を手で持ったときに感じられる物体に関する情報をできるだけ豊富に再現する、高レベルの設計の質感を仮想環境で達成しています。このことは非常に重要です。というのも、製品開発には技術者ではない関係者が関与することもあり、標準のCAD画像では理解しにくいと感じたり、2次元のエンジニアリング図面をもとに3次元のイメージを思い浮かべることが苦手だったりする人もいます。

「製品を設計するときに、1人だけで作業するのではなく、設計、エンジニアリング、マーケティング、セールス、ビジネスの各担当者で構成されるチームで作業するケースが増えています」とWilkensは説明します。「新しい画期的なコンセプトが出てきたときに、1人でも設計コンセプトのイメージを視覚化できなかったり、その重要性を理解できなかったりする人がいれば、問題が発生する可能性があります。たとえば、セールスの拡大に結び付く可能性がある新機能や新機軸を金型の予算の増額分に入れてしまうケースなどが考えられます。SOLIDWORKS Visualize Professionalのおかげで、全体像を説明するための質感のあるレンダリングをすばやく生成し、先のような伝達上の問題も減らすことができます」

迅速な開発、コンセンサスの形成

SOLIDWORKS Visualize Professionalにより、ID Groupは顧客との間でコンセンサスと承認を短期間で得られるだけでなく、製品開発プロセスをスピード アップし、市場投入までの期間も短縮できるようになりました。「SOLIDWORKS Visualize Professionalが提供する高品質のレンダリングにより、大規模組織内のコンセンサスが形成され、プロセスが効率化されるため、時間とコストの大幅な節約になります」とWilkens氏は強調します。

「SOLIDWORKS Visualize Professionalの新機能であるAI Denoiserは、レンダリング速度の点からすると、まさに革命的です」とWilkens氏は付け加えます。「たとえば、シミュレートされた長いフライスルーをレンダリングするには数週間かかっていましたが、数日間で終わるようになりました。これは、フレームごとのレンダリング速度が今までの10倍になり、全体のレンダリング速度も10倍速くなったからです」

仮想現実から拡張現実へ

ID Groupは、ソフトウェアの今後のリリースに向けて開発中の拡張現実機能の使用にも期待を寄せています。「最近、SOLIDWORKS Visualize Professionalによる初期段階の拡張現実のデモを見ましたが、その実用性にすぐに気が付きました」とWilkens氏は述べています。

「飛行機内部の実物大の機体チューブを組み立てたり、視覚化用の静止画像を使用したりするのではなく、VRまたはARゴーグルをクライアントに装着させて、飛行機の中を擬似体験してもらえるようにする予定です。このタイプの機能では、顧客は擬似的な環境の中で機体内部を視覚化できるほか、トリム、仕上げ、場合によっては構造全体に変更を加えることができます。これにより、ビジュアリゼーションを改善し、製品開発プロセスを効率化できます」