Challenge

障害のある人々がマウンテン トレイル、森林ハイク、美しいアウトドアの自然を満喫できるように、革新的で耐久性の高い電動輸送・移動補助具を開発する。

Solution

SOLIDWORKS for Entrepreneursソリューションを活用し、Bowhead Reach電動バイクを開発、製造する。

Results

  • 開発サイクルを丸1年短縮
  • 必要な試作品の数を削減
  • 開発、試作品、製造に3Dプリントを活用
  • 障害のある人々が積極的に楽しめるアウトドア アクティビティを実現

1996年、アウトドア アクティビティを満喫していた20歳のChristian Bagg氏は、スノーボード中の事故で負傷し、下半身麻痺の生活を余儀なくされました。

この負傷の後、Bagg氏はやりたいことを何でもやる生き方に戻りたいと考えました。その原動力となったのがアウトドアへの揺るぎない愛情であり、アドレナリン中毒者としての前向きな姿勢でした。しかし、既製の車椅子は、彼の途方もなく高い要求を満たすには不十分で、求めるスリルを自由に味わうには程遠い性能でした。そうした不満がきっかけになり、Bagg氏は20年にわたり、下半身麻痺や四肢麻痺、その他の障害を持つ人々が大自然と気軽に触れ合うことができる車椅子やスキーなどの移動補助具の開発に取り組んできました。

 

Bowheadとドライバー

Bagg氏の最も有名な発明品は、自分のために設計、製作したマウンテン バイクです。思いも寄らないことでしたが、自分のバイクを障害のある子どもたちのキャンプに貸し出したことで、Bagg氏の人生は再び変わりました。Bagg氏は、脳性麻痺でめったに話さない14歳の少女が、バイクに乗って生まれて初めて完全な自由を感じて興奮し、元気に遊ぶのを目の当たりにしました。

「生きてきた中で今日が最高の1日!」という彼女の喜びの声は、Bagg氏のターニング ポイントになりました。この喜びの声が、彼が設立した会社の使命を実現する原動力になっています。Bagg氏は、世界中の障害のある人々がマウンテントレイルや森林ハイクを満喫し、美しいアウトドアの自然を楽しめるようにサポートしたいと考えています。

負傷したとき、Bagg氏は機械工学を学ぶ学生だったため、機械が動作する仕組みに関する知識はありましたが、最低限の設計スキルしかありませんでした。SOLIDWORKS®のパワフルで使いやすい機能は、その設計経験を補って余りあるものでした。

関連リソース

前二輪を連結した電動三輪バイクを最初に考案したとき、Bagg氏はMarkforged 3Dプリンターを購入しました。そして、カルガリー大学の機械工作工場からの知り合いだったWill Gill氏に、プリンターを動かしてカーボンファイバーで試作品を3Dプリントできるか打診しました。

それがきっかけで、Bowhead Corp(社名はカナディアン ロッキーのボウ川源流に由来)という新しい会社が生まれました。Gill氏は学生時代からSOLIDWORKS 3D設計ツールを使用し、Markforgedカーボンファイバー3Dプリンターと容易に連携できる点を高く評価していました。

そのため、Gill氏とBagg氏は、設計、シミュレーション、コミュニケーション、ビジュアリゼーション ツールとしてSOLIDWORKS for Entrepreneursを選択し、マウンテン バイクと(四輪バギーなどの)全地形対応車(ATV)を融合した革新的なBowhead Reach®バイクの開発を進めました。

 

Bowheadのレンダリング

SOLIDWORKS for Entrepreneursにより、Gill氏はBagg氏の設計を刷新し、コンセプトを次の段階に進めました。SOLIDWORKS for Entrepreneursにより、試作品の数を減らし、開発、試作品、製造に3Dプリントを活用することで、両氏はBowhead Reachの開発サイクルを丸1年前倒しするとともに、従来型の設計・製造工程と比較して大幅なコスト削減を達成できました。

「Reachでは、手間のかかる構成と複雑な3Dプリント アセンブリが不可欠でしたが、SOLIDWORKSは正に完璧なソリューションでした。SOLIDWORKSと3Dプリントで設計の反復作業を効率的に進めた結果、試作品製作の時間を短縮でき、Reachは予想より短期間で完成しました」とGill氏は説明します。

マルチボディ部品を用いて複雑なアセンブリ構築を促進するSOLIDWORKSの機能は、Bowheadにとって特に有用でした。Gill氏は、大きすぎる構成部品や複数の大型部品で構成されるアセンブリを3Dプリントするのではなく、SOLIDWORKSマルチボディ部品設計ツールを使用して、いわゆる「Lego®タイプ」の設計を考案しました。大型部品やアセンブリをLegoブロックのように複数のボディに分解するのです。部品をプリントし、カチッとつなぎ合わせることで、より大きな部品やアセンブリを構築します。

 

SOLIDWORKSで部品やアセンブリを設計し、3Dプリントして、機能や強度を確認することで、迅速な反復検証が可能になり、1年前倒しでReachを発売できました。私たちには優れたアイデアがありました。さらに起業家精神と設計ツールがもたらす効率を組み合わせることで、設計を短期間で発展させ、バックエンドの試作品要件を削減できました。

Will Gill氏
共同設立者 / 研究・開発ディレクター

初のBowhead Reachバイクが正式に発売され、2018年11月に最初の顧客に納車されると、Bagg氏とGill氏は、ライダーたちが普通にバイクに乗るだけでは飽き足らず、ジャンプして障害物をクリアしたいと考えていることを知りました。

Gill氏は説明します。「Reachを最初に設計したときは、ライダーが2.5mもジャンプするとは考えていませんでした。顧客がどのようにバイクを使用するか詳しく調査した結果、ベース設計を見直し、特殊な用途に合わせて修正しました。ジャンプの衝撃に備えてショック アブソーバーを強化したり、四肢麻痺の障害者のためにスロットルおよびブレーキ コントロールを前腕パドルに交換しました」

「SOLIDWORKS for Entrepreneursは、バイクの開発期間の短縮に貢献しただけでなく、他の機能や要件への迅速な対応にも役立ちました」とGill氏は続けます。「トポロジーやシミュレーション検証を実施して軽量で強度の高いサスペンションを作成したり、SOLIDWORKS Composerを使用してユーザー マニュアルの制作を自動化したり、SOLIDWORKS Visualizeを活用してエキサイティングで魅力的な画像を作成するなど、SOLIDWORKSソリューションは、障害のある人々のアウトドア アクティビティをサポートするという私たちの使命を後押ししてくれます」

 

ジャンプするBowhead

 

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Christian Bagg氏のストーリーをSOLIDWORKSのBorn to Designポッドキャストでお聞きください。

 

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