Challenge

開発プロセスを合理化して、カスタム フィッティングのウェアラブル ロボット製品を迅速に設計、製造、市場投入する。

Solution

SOLIDWORKS Professional設計、SOLIDWORKS Simulation解析、SOLIDWORKS Electrical設計、およびSOLIDWORKS PDM製品データ管理を導入する。

Results

  • ウェアラブル ロボット製品を迅速に開発

  • カスタム フィッティング製品を設計変更できるように改善

  • アディティブ マニュファクチャリング技術の活用を拡大

  • シミュレーションを使用して試作品製作の時間とコストを削減

ソウルにある西江(ソガン)大学校のロボット システム制御研究室から独立したAngel Roboticsは、高齢者や対麻痺患者などの歩行障害を持つ人たちに向けた、ウェアラブル ロボット エクソスケルトンを開発しているスタートアップ企業です。ウェアラブルでお客様個人に合わせた製品を開発することで、Angel Roboticsは自立して暮らす移動障害を持つ人たちの歩行を実現し、こうした人たちへの支援を行っています。2016年のサイバスロン第1回大会でKim Byeong-wook氏が銅メダルを獲得して、同社はその技術力を実証しました。サイバスロンとは、スイス連邦工科大学チューリッヒ校が運営する国際競技大会で、参加する選手は、生物工学アシスティブ テクノロジーを使用する障害のある人たちです。

それ以降、同社は急速に成長し、2つの製品を発表しています。全身麻痺を持つ人たちに向けたWalkON Suitと部分的な歩行障害を持つ人たちの下肢を補助するロボットのANGELEGSです。Angel Roboticsは、2018年のピョンチャン オリンピック/パラリンピック大会で全身対麻痺患者がWalkON Suitを着て歩き、聖火を運んだことで再び注目されました。Angel RoboticsのCEOで西江大学校の機械工学科助教授を務めるKyoungchul Kong氏によると、カスタマイズ可能な新製品を短期間で開発しながら成長する同社の管理において、製品開発プラットフォームの選択を極めて重要なものにした要求事項が主に2点ありました。

「中心となる研究者と開発者たちは、西江大学校の学部課程と大学院の授業でずっと、SOLIDWORKSツールを使って学習していました。また、初期の作業ほとんどにSOLIDWORKS Researchソフトウェアが使われていたので、Angel Roboticsでも同じ設計とエンジニアリングのツールを採用することが自然に判断されました」とKong氏は説明します。「私が最初にSOLIDWORKSを使い始めたのは2002年です。小さなベンチャー企業のインターンとして、機械部品を設計しました。これまで使ったことのある設計ソフトウェアの中で、SOLIDWORKSは最も効率がよく、便利だと感じました。この経験に加えて、同僚たちもSOLIDWORKSに精通していたため、選択は簡単でした」

Angel Roboticsは2017年の早期にSOLIDWORKS 3D製品開発ソフトウェアを標準化し、SOLIDWORKS Professional設計、SOLIDWORKS Simulation解析、SOLIDWORKS Electrical設計、およびSOLIDWORKS PDM製品データ管理の各ソフトウェア ソリューションを導入しました。同社がSOLIDWORKSを開発プラットフォームとして選択した理由は、ソフトウェアが使いやすく、統合された設計・エンジニアリング・製造ツールを使用できることに加え、主要な設計者がSOLIDWORKSをすでに知っていたからです。

SOLIDWORKSのグラフィック ユーザー インターフェイスは直感的なので、設計だけでなくチェックや設計検証までを数時間で実施することができます。当社がSOLIDWORKSを使う理由はそこです。あらゆる設計作業の大幅なスピードアップを実現できるのです。

Kyoungchul Kong氏
CEO

カスタム フィッティングのウェアラブル ロボットを短期間で設計

Angel Roboticsのロボット製品はユーザーごとにサイズをカスタム調整して製作しなければならないにもかかわらず、SOLIDWORKSの設計ツールを使用することで、そうした製品を短期間で開発できています。同社はSOLIDWORKS設計コンフィギュレーション機能を活用して、ベースとなる1つの設計と新しいお客様の3次元スキャン データから複数のバリエーションを自動で作成し、製品のカスタム フィッティングを行っています。

「当社のウェアラブル ロボット製品の場合、個々のユーザーに合わせて支柱部品をカスタマイズしなければなりません」とKong氏は強調します。「そのため、設計変更を迅速に行う機能が必要不可欠です。SOLIDWORKSが最も速くて使いやすい設計ツールであることは間違いありません。SOLIDWORKSを使うことで、ユーザーの3次元スキャン モデルを設計に適合させて迅速な変更が可能になるのです。SOLIDWORKSのグラフィック ユーザー インターフェイスは直感的なので、設計だけでなくチェックや設計検証までを数時間で実施することができます。当社がSOLIDWORKSを使う理由はそこです。あらゆる設計作業の大幅なスピードアップを実現できるのです」

最近、Angel Roboticsは子供向けウェアラブル ロボットの開発を始めました。「支柱部品をすばやく設計して製造することの重要性は、子供向けロボットの場合さらに増します。なぜなら、子供が成長するスピードに合わせて、支柱部品を頻繁に変更する必要があるからです」とKong氏は強調します。

シミュレーションによって試作品製作とユーザー トライアルの期間を短縮

性能テスト用に部品の物理的なモックアップを作成する代わりに、Angel Roboticsは、統合されたSOLIDWORKS Simulation有限要素解析(FEA)ソフトウェアを使用して、部品の剛性と強度を仮想的にシミュレーションするほか、SOLIDWORKSダイナミック モーション ツールを使用して、アセンブリ内で構成部品のインターフェイスを確認し、時間とお金を節約しています。開発中の時間を節約してコストを削減するだけでなく、仮想的かつ視覚的な試作部品によって、性能および安全テスト中に繰り返される試行錯誤を最小限に抑えることができます。このようなテストは、さまざまな国でロボット システムを市場に出して販売するために必要な、政府の規制承認を取得するための要求事項です。

「SOLIDWORKS Simulationを使用すると、有限要素解析によってロボットの安全性テストで繰り返される試行錯誤を最小化できます」とシニア デザイナーのByeonghun Na氏は語ります。「物理的なモックアップの作成には非常に時間がかかります。そのため、当社では実際に部品をアセンブリする前に、SOLIDWORKSを使って仮想の試作部品を作成します」

3Dプリントによって製造を円滑化

カスタム フィッティングのウェアラブル ロボットには、個々のユーザーに合わせて設計を迅速に調整する堅牢な設計性能だけでなく、単発部品の製造をコスト効率よく進められる方法も必要です。ここでも再び、Angel RoboticsはSOLIDWORKSの設計データを利用して、Stratasys Fortusの3Dプリンタでアディティブ マニュファクチャリングによって、迅速にプラスチック部品を作成しています。

「SOLIDWORKSには3Dプリンタを利用するのに直感的で使いやすいインターフェイスが用意されているので、製造プロセス全体がシンプルでスピーディになります」とKong氏は話します。「誰でも、このように複雑で専門的な機能を、時間と労力を無駄にすることなく活用できるという点で、SOLIDWORKSは非常に優れています。簡単で直感的なユーザー インターフェイスがSOLIDWORKSの最も強力な機能です」