SF小説が書かれ始めた当時からロボットと言えば、HAL 9000の不吉な赤い目や、ターミネーターの歯をむき出しにした蓋骨のようなアンドロイドなど、大衆文化が与えた怖いイメージがつきものでした。
しかし、SFの世界から現実に目を移せば、ロボット技術を人間の生活に役立てることには大きな可能性が存在しています。ロボットはヘルパーにも、コンパニオンにも、友達にもなれます。教育の現場でユニークな役割を果たすこともできるのです。しかし、小説や映画が人々に与えたイメージを払拭するには、威圧感がなく、可愛くて、楽しいロボットでなくてはなりません。また見た目や動きが人間に似ている必要もあります。
Aldebaran Roboticsのミッションは、人間のようなロボットの開発と商品化です。このフランスのロボット メーカーが発表した世界最先端の人型ロボットNAO®は、ロボット技術が飛躍的な進歩を遂げたことを証明しています。NAOロボットの開発には、Aldebaranの創立者のアイデアと同社スタッフの才能に加えて、統合型の3次元開発環境が必要でした。
Aldebaranの創立者でCEOでもあるBruno Maisonnier氏によれば、NAOロボットの設計、サーフェス、シミュレーション、プラスチック射出成形解析、製品データ管理(PDM)、ビジュアリゼーションにSOLIDWORKS®ソフトウェアを選んだ理由は、操作が直感的で、設計とエンジニアリングが統合されたこのプラットフォームによって、Maisonnier氏が描く人型ロボットのアイデアを実際の製品に変えるのに必要なさまざまなツールが提供されるからでした。「人間の助けになるロボットなので、便利で見た目もよくなくてはなりません」とMaisonnier氏は強く言います。「頭の中のアイデアを実際のロボットに変えるには、SOLIDWORKSのような強力な3次元ソリューションが必要なのです」
AldebaranはNAOロボットの開発に、SOLIDWORKS Premium(設計)、SOLIDWORKS Simulation Premium(解析)、SOLIDWORKS Plastics(プラスチック射出成形解析)、SOLIDWORKS Enterprise PDM(製品データ管理)を採用しました。
サーフェス ツールがより人間らしいロボットの製作を実現
AldebaranはSOLIDWORKSの設計ツールを使用して、これまで以上に人間らしいロボットを設計するという重要な目標を達成しました。触覚センサー、カメラ、スピーカー、LED、マイクを搭載したNAOロボットは、周囲の環境を認識してコミュニケーションしたり、オーナーとのやり取りを通じて学習することもできます。静かでスムーズな動作は人間のようで、その大きさと人畜無害な存在感が穏やかでフレンドリーかつ心地よい雰囲気を醸し出しています。
R&Dメカトロニクス マネージャのVincent Clerc氏は次のように説明しています。「ロボットの外形は攻撃性がなく、見て楽しくなるものでなくてはなりません。当社の設計者はSOLIDWORKSのサーフェス ツールを使用してスムーズでエレガントな外形を創り出し、干渉認識機能によって内部の構成部品が適切に納まることを確認しました。SOLIDWORKS Enterprise PDMシステムによりプロジェクトの構成が管理されるため、設計者は革新性を生み出す作業に集中できます」
「NAOには小型車の部品数とほぼ同じ1,400の部品があります」とメカニクス & デザイン エンジニアのFabien Munier氏は語ります。「そのすべての部品を身長60cmのNAOの限られたスペースに納めることは容易ではありません。それを助けてくれるのがSOLIDWORKSです。動作をシミュレーションし、部品間に干渉がないかチェックできるため、設計どおりに部品が装着され正しく機能することを確認できます」