新製品開発とは?

新製品開発とは、アイデアを現実のものに変え、顧客が購入し、使用できるようにするプロセスのことです。新製品開発プロセスの範囲には、基礎研究から設計、テスト、製造に至るまでのあらゆるものが含まれます。その目標は、何を作成するかを考え、市場調査を実施して、顧客がそれを望んでいることを証明し、それを顧客に届けることです。

新製品開発ライフサイクルには、さまざまな役割の担当者が関与します。たとえば、製品の外観と仕組みを定義する製品設計者、製品の構築方法を考えるエンジニア、製造方法を計画する製造担当者、販売方法を考えるマーケティングおよび販売担当者、プロセス全体を調整する製品管理の担当者が関与します。製品を形にするためのチームとしてまとまる必要があります。

新製品開発に体系的に取り組むことのメリット

新製品開発のための明確なプロセスを確立し、それを強力な製品管理によって支えることができれば、コストが高く付くミスを回避し、製品の市場投入を迅速化できます。優れたプロセスには次のメリットがあります。

  • コストと時間の節約:物事を計画的に進めると、問題を早期に発見でき、解決にかかるコストが低くなります。 
  • 進捗状況の追跡:体系的なアプローチにより、進捗状況や、今後必要な作業を簡単に把握できます。 
  • チームの重点的な目標を持つ:明確なステップと目標を持つことで、誰もが自分が何に取り組むべきかを知ることができます。 
  • リスクの軽減:実績のあるプロセスに従うことで、プロジェクトがはまりがちな落とし穴を回避できます。 
  • より良い製品を作成する:体系的なプロセスを確立することにより、開発中に顧客からのフィードバックを収集して活用することができます。 

新製品開発プロセスのための8つのステップ

新製品を市場に投入するまでに、固めなくてはならない事項が山ほどあります。初期のアイデアから完成品に至るまでにスタートアップ企業がたどる主なステップについて詳しく見ていきましょう。 

ステップ1:アイデアの創出

優れた製品アイデアが考案されれば、それが新製品開発の全プロセスの土台となります。ターゲット市場のニーズに沿った製品を開発するには、製品チーム、マーケティング チーム、エンジニアのすべてがこのアイデア創出フェーズに関与する必要があります。これらのチームが、何が可能か、そして顧客が求めていることについて、さまざまな視点を持ち寄ります。

アイデアを出すには、まずチーム間でブレーンストーミングを行います。Googleトレンドやソーシャル メディア モニタリングなどのツールを使用して市場を調査し、顧客にインタビューや調査する機会を設けます。記録を残すようにすれば、チーム メンバー相互のアイデアを参考にしながら積み上げていくことができます。

ステップ2:アイデアの優先順位付け

優先順位付けを行うことで、効果のないアイデアに時間とコストを浪費することを回避できます。このステップには通常、製品チーム、ビジネス開発チーム、および技術リーダーが関与します。そして、その目的は、最も有望な選択肢を絞り込むことです。

技術的な実現可能性、市場規模、自社の能力の適合性などの要因に基づいて、各アイデアを評価する採点システムを作成します。RICEの手法は、リーチ、インパクト、確度、労力に基づいてアイデアに優先順位を付ける、人気のあるフレームワークの1つです。各アイデアを採点し、最もランクの高いものを選択します。

ステップ3:コンセプトの開発

コンセプトの開発では、選んだアイデアを、他の人に見せることができるより具体的なものに変えます。製品設計者とエンジニアがこの作業をリードし、製品マネージャーと密接に連携して主な機能と仕様を定義します。

まず、製品要件ドキュメント(PRD)を作成し、アイデアをスケッチします。今日のコンピュータ支援設計(CAD)ツールでは、デジタル試作も可能なため、新製品開発プロセスがさほど進んでいない段階で主要な概念を簡単にテストできます。製品コンセプトを見込み客や投資家に説明するためのプレゼンテーション資料を作成します。既存の製品に対してどのような優位性があるのかを詳しく説明するようにしてください。

ステップ4:ビジネス分析

新製品の開発は、会社にとってエキサイティングで創造的な時間となります。しかし、ビジネスを疎かにしてはなりません。分析フェーズは、製品が収益を上げることができるかどうか、また製品を市場に投入するためにどの程度の資金が必要かを判断するための材料になります。 

コスト、価格設定戦略、予想収益などの財務予測を綿密に練ることから始めます。次に、開発、製造、マーケティング、および経費を網羅した詳細な製品予算を作成します。製品の発売を成功させるための手順と、マーケティング戦略を含め、製品を効果的に市場に投入する方法の概説をビジネス プランに盛り込みます。

ステップ5:初期設計と試作品作成

多くの起業家が待ち望むのはこの部分です。新製品開発のこの段階で、コンセプトが具体的なモノになります。この段階で、詳細設計を行い、実際に機能する試作品を作成します。

まず、3次元CADソフトウェアを使って、実際に機能する製品設計を行い、シミュレーションを実行して、製品の性能をテストします。その後、物理的な試作品を作成して、さまざまな材料や構成部品をテストします。きめ細かく記録を残すようにすれば、チームは変更を追跡することができます。

ステップ6:検証とテスト

テストを行うことで、現実の製品に合わせてコンセプトを改良し、明確な評価基準で完成度を測定することができ、製品が現実の世界で適切かつ安全に機能することを確認できます。このフェーズで問題を特定し、ユーザー エクスペリエンスを向上させ、お客様の期待に応える製品であることを検証します。 

テスト用の環境を用意し、機能性、耐久性、安全性、ユーザー エクスペリエンスをテストするためのプランを練る必要があります。環境テストで製品の性能を試し、実際のユーザーに試用してもらいます。すべての結果を追跡し、そこで得られた情報に基づいて改善を行います。 

ステップ7:商品化

最後に、製品の製造と販売を開始します。この段階で、プランニングと新製品開発のすべての作業が、収益を生み出す真のビジネスに変わります。

製品を生産するには、製造とサプライ チェーンを整え、品質管理をチェックできる体制を準備します。販売面では、マーケティング資料やWebサイトの準備を整え、製品ドキュメントを作成し、チームをトレーニングします。すべてが整ったら、発売に進むことができます。

ステップ8:ライフサイクル管理

新製品開発のライフサイクルはすでに終了していると考えている人もいるかもしれませんが、実際には製品が販売される段階でも継続します。製品ライフサイクル管理(PLM)は、製品の競争力と収益性を長期にわたって維持します。 

分析ツールとCRMシステムを使用して、製品の性能、販売データ、顧客からのフィードバックを追跡します。顧客からのフィードバックと性能データに基づいて、定期的に製品の改善と更新を計画し、実施します。製品ドキュメント管理とリビジョン管理を実施します。コストの状況をモニタリングしながら、どうすれば効率が向上するかを検討します。市場動向、競合他社、既存製品のパフォーマンスを常に把握し、戦略の指針にします。必要に応じて、将来のバージョンや製品の販売終了を計画します。

新製品開発における一般的な課題

新製品開発で課題に直面しないスタートアップ企業はありません。以下のような課題があります。

  • 市場投入のタイミングの問題:成功できるかどうかは、適切なタイミングで発売できるかによります。早すぎると、お客様は商品が購入するに値するかわからない可能性があり、逆に遅すぎると、競合他社がすでに市場を押さえてしまっている可能性があります。柔軟性を保ち、市場を常に注視するようにしてください。
  • 製品の市場適合性:お客様が求めていると考えていたものが、実際にはお客様が必要としているものではないことがあります。そのため、お客様に早い段階で確認するようにし、試作品を使ってアイデアをテストし、方向転換もあり得るという心構えを持つ必要があります。
  • 適切なチームの編成:ほとんどのスタートアップ企業は、必要なすべての人材をすぐに雇用する余裕がありません。まずは、重要な役割を担うコア チームを立ち上げ、複数の役割を担うことのできるスタッフを探し、フリーランスやコンサルタントを使って足りない人員を穴埋めします。 
  • 開発コスト:新製品を開発するとなると、すぐにコストが発生します。まだ何も販売もしていない段階で材料、ソフトウェアなどの費用が必要になります。無料のリソースや、その他手頃な価格で必要なものを入手できる方法を探さなくてはなりません。 

ハードウェアのスタートアップ企業にとって、新製品開発にかかる最大のコストの1つは、多くの場合3次元CADソフトウェアです。SOLIDWORKSがスタートアップ企業向けSOLIDWORKSプログラムをご用意しているのはそれが理由です。このプログラムにご加入いただくと、プロ仕様のソフトウェアに加え、サポートを提供するイノベーターのネットワークを利用できるようになります。スタートアップ企業向けSOLIDWORKSの詳細をご覧いただき、ぜひコミュニティにご参加ください。 

新製品開発に関するFAQ